6月8日の上野旧奏楽堂コンサートのインタビューを3回に分けて配信します
第二回(カンフェティのインタビューに補足を加えています)

 

−―普段はスペインを拠点に活動されている西澤さん。スペイン音楽の魅力も改めて教えていただけますか?

去年「日本・ファリャ友の会」を立ち上げました。ファリャはスペインの国民的作曲家です。スペインというとフラメンコ、ということで括られがちですが、本当はさらにさまざまな要素があります。ファリャ自身がスペインとは何かをずっと探っていたのです。地理上の国境線は一回忘れて、地中海という、アフリカ、ギリシャ、ローマ、南仏、スペインに囲まれた、豊穣な文化圏こそがルーツ。遠いフェニキア時代もローマ帝国も、イスラムの王達の時代も包括するロマンに胸がおどります。
ファリャはフランス、イタリア、スペインの錚々たる作曲家たちが作った「ラテン音楽家協会」の会員でした。西洋音楽の土台、所謂ラテンの国々で生まれて発展した教会音楽やバロック、ルネッサンス時期の遺産を再勉強して、新たな力強い音楽を作っていこうと、密に交流して切磋琢磨していました。
日本の文化にしても、江戸時代以前のことを知らないとよく分からないことってありますよね。そういうムーブメントのことを皆さんにもっと知っていただければと思っています。というわけで、今回のプログラムでもイタリア、スペイン、フランスの作品を取り上げています。

――選曲はどのように行っているのでしょうか?

その土地と関係のある作曲家を取り上げます。そこで生まれた・活躍した、ということから、映画つながり、文学作品の作者がヴェネチア狂だったとか、いろいろ。
歌の要素ではオペラ、民謡もの、踊りの要素ではフラメンコからバレエ、ピアノ技巧が華やかで楽しいもの、一つの音が消える様子を楽しむしんみりしたものなど、全体のバランスも考えて選びました。

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